※本記事には広告・アフィリエイトリンクが含まれます。
座敷わらしがいる家は栄える、という話を聞いたことはありませんか。柳田国男の『遠野物語』には、ザシキワラシに出会った人の話と、ザシキワラシが去った家の話が続けて収められています。青空文庫で公開されている本文から、第17話から第21話を読んでみます。
この記事では、青空文庫で公開されている柳田国男『遠野物語』の第17話から第21話、目次の「ザシキワラシ」をもとに、『遠野物語』第17~21話のザシキワラシと山口孫左衛門の家について5つのポイントで整理します。後半の、遠野のザシキワラシの話を読む前に押さえておきたいことは、この記事の提案です。
※この記事は、2026年10月時点で青空文庫で公開されている柳田国男『遠野物語』に掲載されている内容をもとにしています。この記事は青空文庫で公開されている『遠野物語』の本文をもとにしています。本文の要約と読みどころの紹介で、語られている出来事が事実かどうかを示すものではありません。物語の中に出てくるきのこの扱い方は、まねしないでください。
ザシキワラシの話はどこにある?
目次の「ザシキワラシ」
青空文庫の『遠野物語』の目次では、「ザシキワラシ」の項目に第17話と第18話が挙げられています。
続く第19~21話
第18話の山口孫左衛門の家の話は、第19話のきのこの出来事、第20話の前兆、第21話の孫左衛門の人柄へと続いています。
5話で一つの流れ
ザシキワラシの姿から始まり、一つの旧家がどうなったかまでを、5つの話で読める構成です。
| 話 | 内容 |
|---|---|
| 第17話 | ザシキワラシとはどんな神か、出会った人の話 |
| 第18話 | 孫左衛門の家から去る二人の娘 |
| 第19話 | 梨の木の下のきのこ |
| 第20話 | 出来事の前の前兆 |
| 第21話 | 孫左衛門と稲荷の祠 |
第17話 ザシキワラシとは
旧家に住む神
第17話は、旧家にはザシキワラシという神の住みたもう家少なからず、と始まります。
十二三ばかりの童児
この神は多くは十二三ばかりの童児で、おりおり人に姿を見せることがあると語られています。
富貴自在
この神の宿りたもう家は富貴自在なりということなり、と結ばれています。家が豊かになるという言い伝えは、ここに書かれています。
座敷童衆
話のあとの注には、ザシキワラシは座敷童衆なり、とあり、『石神問答』中にも記事があると書かれています。
廊下で出会った娘
今淵勘十郎の家
土淵村大字飯豊の今淵勘十郎という人の家では、高等女学校にいる娘が休暇で帰っていたとき、廊下でザシキワラシに行き逢い、大いに驚いたと語られています。
男の児
これは正しく男の児なりき、と書かれていて、姿を見た話になっています。
近きころの話
「近きころ」の出来事として語られているのも、昔話とは違う手ざわりがあります。高等女学校という言葉からも、語られた時代が近いことがうかがえます。
音だけのザシキワラシ
縫物をする母
同じ村山口の佐々木氏の家では、母がひとりで縫物をしていると、次の間で紙のがさがさという音がしたと語られています。
主人は不在
その部屋は家の主人の部屋で、主人は東京に行って不在だったので、怪しいと思って板戸を開けてみると何の影もなかったとされています。
鼻を鳴らす音
しばらく座っていると、また頻りに鼻を鳴らす音がして、さては座敷ワラシなりけりと思った、と書かれています。この家にも座敷ワラシが住むという話は、久しい以前からあったとされています。
ザシキワラシの話 5つの読みどころ
1. 旧家に住む神
ザシキワラシは旧家に住む神として語られています。
2. 多くは十二三の童児
多くは十二三ばかりの童児で、女の児のこともあります。
3. 姿と音
廊下で姿を見た話と、音だけを聞いた話があります。
4. 宿る家は富貴自在
神の宿る家は富貴自在と言われています。
5. 去った家の話
孫左衛門の家から二人の娘が去る話が続きます。
5つのポイント早見表
| ポイント | 青空文庫で公開されている柳田国男『遠野物語』の案内 |
|---|---|
| 旧家に住む神 | 旧家に住む神 |
| 多くは十二三の童児 | 男の児も女の児も |
| 姿と音 | 姿を見る話と音の話 |
| 宿る家は富貴自在 | 家が栄えるという伝え |
| 去った家の話 | 去ったあとの出来事 |
第18話 二人の娘
女の児のことも
第18話は、ザシキワラシまた女の児なることあり、と始まります。
童女の神二人
山口の旧家、山口孫左衛門の家には、童女の神が二人いると久しく言い伝えられていたと語られています。
橋のほとりで
ある年、同じ村の男が町から帰る途中、留場の橋のほとりで見慣れない二人のよい娘に会います。どこから来たと問うと、山口の孫左衛門のところから来たと答え、これからどこへ行くのかと聞くと、離れた村の何某の家へと答えたとされています。
世も末だな
男は、さては孫左衛門が世も末だなと思った、と書かれています。
孫左衛門の家に起きたこと
きのこの毒
それから久しからずして、この家の主従二十幾人が茸の毒にあたり、一日のうちに亡くなったと語られています。
残された女の子
七歳の女の子が一人残りましたが、その女の人も年老いて子はなく、近いころ病んで亡くなったとされています。
豪農の家
二人の娘が向かうと答えた家は、今も立派に暮らしている豪農と書かれています。
第19話 梨の木の下のきのこ
見慣れぬ茸
第19話では、ある日、梨の木のまわりに見慣れない茸がたくさん生えていて、男たちが食べるか食べないか話し合っていたと語られています。
主人は止めた
最後の代の孫左衛門は、食わぬがよし、と止めたと書かれています。
下男の言葉
しかし下男の一人が、水桶に入れて苧殻でよくかき回してから食べれば中ることはないと言い、一同がこれに従って食べたとされています。物語の中の言い伝えで、実際の食べ方の参考にはなりません。
遊んでいて助かった子
七歳の女の児はその日外で遊びに気を取られ、昼飯に帰るのを忘れたために助かったと語られています。
家財が持ち去られる
親類の人々
主人が急に亡くなり人々が動転している間に、遠い近い親類の人々が、生前に貸しがある、約束があると言って、家の財産を味噌の類までも取り去ったと書かれています。
草分の長者
この村の草分の長者だった家が、一朝にして跡形もなくなった、と第19話は結ばれています。
ザシキワラシとのつながり
第18話の二人の娘の話と読み合わせると、神が去ったあとに家が絶えた流れとして読めます。
第20話 前兆
いろいろの前兆
第20話は、この兇変の前にはいろいろの前兆ありき、と始まります。
秣の下の蛇
男たちが刈り置いた秣を三ツ歯の鍬でかき回すと、大きな蛇が出てきました。主人が殺すなと止めたのも聞かずに打ち殺すと、秣の下から数えきれない蛇がうごめき出て、男たちは面白半分にことごとく殺したと語られています。
蛇塚
捨てる場所もないので、屋敷の外に穴を掘って埋め、蛇塚を作ったと書かれています。
第21話 孫左衛門という人
村には珍しい学者
第21話では、孫左衛門は村には珍しい学者で、常に京都から和漢の書を取り寄せて読みふけり、少し変人という方だったと語られています。
稲荷の祠
狐と親しくなって家を富ます術を得ようと思い立ち、庭に稲荷の祠を建て、自ら京に上って正一位の神階を受けて帰ったとされています。
毎日の油揚
それからは日々一枚の油揚を欠かさず供えて拝み、のちには狐が慣れて、首を押さえても逃げなかったと書かれています。
堂守の笑い話
村の薬師の堂守が、わが仏様は何も供えないが、孫左衛門の神様よりは御利益があると、たびたび笑いごとにした、という話で結ばれています。
話を読むときの言葉
住みたもう
「住みたもう」「宿りたもう」は、神が住んでいらっしゃる、という敬った言い方です。
富貴自在
「富貴自在」は、富や身分が思うままになる、という意味で読めます。
草分
「草分」は、その土地を最初に切り開いた家のことを指す言葉として使われています。
遠野のザシキワラシの話を読む前に押さえておきたいこと
ここからは、青空文庫で公開されている柳田国男『遠野物語』の案内をもとにした、この記事の提案です。
ここで挙げるのは、本文を読むときの手がかりの例です。
第17話と第18話を続けて
目次の「ザシキワラシ」に挙げられた2話を、まず続けて読みます。
第21話まで読む
孫左衛門の家の話は第21話まで続くので、5話をひとまとまりで読むと流れがつかみやすくなります。
地名に注目
土淵村、飯豊、山口、留場の橋など、話に出てくる地名を書き出しておくと、遠野を訪ねるときの手がかりにもなります。今の地名との対応は、遠野市の観光案内などで確かめましょう。
注も読む
第17話のあとの注にある「座敷童衆」の表記や『石神問答』への言及も、あわせて読んでおきましょう。
よくある質問
ザシキワラシは何歳くらい?
第17話では、多くは十二三ばかりの童児と語られています。
男の子?女の子?
第17話では男の児、第18話では女の児の話が出てきます。
ザシキワラシがいる家はどうなる?
第17話では、この神の宿りたもう家は富貴自在なりということなり、と書かれています。
孫左衛門の家で助かったのは?
外で遊んでいて昼飯に帰るのを忘れた、七歳の女の児です。
漢字ではどう書く?
第17話のあとの注には、座敷童衆と書かれています。
二人の娘はどこへ行った?
離れた村の何某の家へ行くと答えたと語られていて、その家は今も立派に暮らしている豪農と書かれています。
前兆には何があった?
第20話では、秣の下から出てきた蛇を男たちが殺し、蛇塚を作ったことが語られています。
孫左衛門はどんな人?
第21話では、村には珍しい学者で、少し変人という方だったとされています。
どこで読める?
青空文庫で、柳田国男『遠野物語』の本文が公開されています。
ザシキワラシの話は、去ったあとの家の行く末まで続く
『遠野物語』の第17話と第18話には、旧家に住む神ザシキワラシに出会った人の話と、孫左衛門の家から二人の娘が去る話が語られています。続く第19話から第21話では、その家に起きた出来事と前兆、孫左衛門の人柄が描かれます。5つの話を続けて読むと、言い伝えの重みが見えてきます。青空文庫で本文を開いて、短い話を一つずつ味わってみてください。