『遠野物語』116・117話のヤマハハ。正体が分かっても、助かる話ばかりじゃない

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家に残った娘のところへ、恐ろしいヤマハハが来る。二つの昔話に似た始まりがあったら、どちらも娘が逃げ切る話かな、と思うかもしれないね。

ところが『遠野物語』の第116話では二人の女性が帰り、第117話では娘は戻らない。正体を見破ることと、被害を取り返せることが別になる。この違いが、続けて読むと残るんだ。

ここからは二話の結末まで触れるよ。青空文庫の公開原文の第115〜117話をもとに、話の進み方を見ていこう。

目次

第116話は、逃げるたびに別の人へ助けを求める

第115話で、語りの名として出てくるのが「ヤマハハ」。本文は山姥のことだろうと説明し、その話を次から記している。

第116話では、娘が家に来たヤマハハに食事を用意し、その隙に逃げる。追いつかれそうになるたび、柴を刈る老人、次に萱を刈る老人に隠してもらうんだ。柴は燃料などにする小枝。萱は屋根材などにする草だよ。

老人に会えば、それでおしまいではない。再び追われ、沼の岸では木の上へ。水に映った娘の姿を見てヤマハハが沼へ飛び込むと、また逃げられる。

やがて娘は小屋で若い女性に助けられ、石の唐櫃へ隠される。唐櫃は、ここでは物を入れる大きな箱。その女性もヤマハハに連れてこられた人だった。

二人は力を合わせてヤマハハを倒し、それぞれ親の家へ帰る。一人を助けるだけでなく、助けた側の女性も帰れる結末なんだね。

第117話は、鶏が知らせたときには、もう遅い

次の第117話でも、両親が出かけた家へヤマハハが来る。ただ、娘が逃げる展開にはならない。娘を食べ、その姿を装って家にいるんだ。

帰宅した両親は気づかず、婚礼の支度を見せる。翌朝、鶏がいつもと違う鳴き声で、糠屋の隅を見ろと知らせる。さらに花嫁を送り出す段になって、馬に乗せたのは娘ではなくヤマハハだと繰り返し伝える。

両親はようやく気づいてヤマハハを倒すけれど、隅に残されていたのは娘の骨。怪物を倒しても、娘が帰ってくる話にはならないよ。

鶏が知らせたから助かった、とまとめると、この最後が抜け落ちてしまう。知らせが届いた時点で何が起きていたかまで読むと、前の話との違いがはっきりするね。

同じ怪物の話でも「誰が帰ったか」を最後に見てみよう

二話を読み比べるなら、正体だけでなく、助けを求める人、知らせる人、最後に家へ帰る人を追ってみよう。第116話は助けた女性も帰る。第117話は両親が気づいた後にも、取り戻せないものが残る。

手元の本で前後も続けて読むなら、角川の『新版 遠野物語 付・遠野物語拾遺』も候補。出版社は本編に加え、索引や遠野郷地図などの収録を案内しているよ。

本の識別番号であるISBNは9784043083206。

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同じ題名でも現代語訳や別版があるので、欲しい版と合わせて選んでね。今回確認した掲載には中古の角川文庫もあった。

怪物の名前を覚えたら、話の最後へもう一歩。二話を続けて読み、どこで「逃げ切れる」と思ったか、自分の読み方も振り返ってみてね。

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この記事を書いた人

各地の伝承や史跡を資料と現地案内から調べ、地域文化として紹介する編集部です。

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